[2011]中部ジュニア≪本戦第2日/記事≫
2011.07.25
第37回 中部ジュニアゴルフ選手権競技
開催日/平成23年7月24・25日(日・月)
会場/愛知県・東名古屋カントリークラブ(東コース)
天候 1日目 晴れ、2日目 雨のち曇り
参加者
男子15歳~17歳の部 74名(6784Y PAR72)
女子15歳~17歳の部 22名 (6168Y PAR72)
男子12歳~14歳の部 49名 (6459Y PAR72)
女子12歳~14歳の部 24名 (6168Y PAR72)
【第2日目】
高校の部・男女ともプレーオフ。
シード権を持つ川村選手、鬼頭選手が破れる
朝から、天候の気圧変動の激しい一日、ゲリラ豪雨の襲来で競技は11時から1時間中断。中部一を決めるジュニアの決勝日は、選手たちに悪戦苦闘を強いられた競技となりました。
しかし試合は、高校の部・男女ともプレーオフとなり悪天候を忘れる盛り上がりを見せてくれました。
男子15~17歳の部は、一日目に大きくリードしてトップ立った竹中智哉(星城高3年)が、前日首位との5打差を縮めた川村昌弘選手(福井工大福井高3年)をプレーオフ1ホール目、バーディーで制して優勝。女子15歳~17歳の部は、一日目トップタイの松田唯里選手(福井工大福井高2年)がプレーオフ1ホール目で鬼頭桜選手(美濃加茂高2年)をバーディーで下して優勝しました。
川村選手、鬼頭桜選手はいずれもナショナルチームのメンバー。さすがと言える追い上げでトップをとらえ、プレーオフに持ち込みましたが、賜杯に届かず本当の強さとは何かを痛いほど知った悔しい敗北でした。
また文武両道を見事に表現した2人がいました。三重県・伊勢高1年の北村聡馬選手、岐阜県・岐阜高2年の吉桑佑太選手が日本ジュニア出場資格を獲得。いわゆるゴルフ漬けで学業軽視になりがちであった、日本のジュニアゴルフ時代に新しいタイプのアスリートが登場しました。
男子12歳~14歳の部、男子は竹内大喜選手(恵那西中3年)が一日目の貯金を活かして完全優勝。女子12歳~14歳の部は、橋本千里選手(萩山中1年)が逆転優勝。一日目トップの立浦葉由乃選手(福井工大福井中3年)は3位でした。
なお、本競技において男子15~17歳の部14名(シード選手除く)、女子15歳~17歳の部9名(シード選手除く)、男子12歳~14歳の部 7名、女子12歳~14歳の部5名までの者は日本ジュニアゴルフ選手権競技(8月17日~19日 霞ヶ関カンツリー倶楽部 西・東コース)への出場資格者となりました。選出にあたりタイは、最終ラウンドスコアのマッチング・スコアカードにより決定しました。
男子15~17歳の部
女子15~17歳の部
男子12~14歳の部
女子12~14歳の部
<インタビュー>
男子15~17歳の部
竹中智哉選手(星城高3年) 139=67、72(37、35)
2位と4打差の5アンダーでスタートした竹中選手は、「昨年優勝した144以下で回ろう。76でも143だから、リラックスしていこう」と気楽にティーオフしたという。ところが、1番Hをボギーで落として通算4アンダーとすると、次の2番Hでは、同じ最終組でイーブンパーでスタートした川村昌弘選手(福井工大福井高3年)がバーディをとり、その差は3打差に。3番Hで竹中がバーディ、川村がボギーで再び5打差になるも、川村が続く4番H、6番Hをバーディとし、竹中が7番Hでボギーとしたため、前半を終えたところで二人の差は2打となった。竹中選手としては「相手がガンガン来た。パターも入るし、のんびりしてられなかった」。そして後半。10番Hで竹中バーディで3打差のまま、お互いにパーキープ。試合を動かしたのは川村選手だった。15番Hから実に3連続バーディで一気に竹中選手に追いついたのだ。最終18番H。竹中選手はフェアウェイ真ん中から第2打をピン手前3メートルに、川村選手は左のラフからの第2打をグリーンオーバーで奧の小山へつっこんだが、アプローチは絶妙。チップインをはずして2メートルオーバー、しかし、そこから慎重にラインを読んでパーパットを決めた。竹中選手もパーとして、勝負はプレーオフに持ちこまれたのだ。
プレーオフは1番H(527Y、Par5)。竹中選手はフェアウェイから左の林ギリギリへ、そしてピン手前2メートルへ。
川村選手は左ラフからフェアウェイにレイアップ、そこからピン手前1.2メートルへ。大勢の仲間たちが見守る中、最初にパッティングした竹中選手がバーディを決めた。川村選手の一打は惜しくも届かず、竹中選手の2連覇が達成された。
「体力的にも大変だった。酸素が足りないなあ、って感じたくらい。でも、このコースは日頃から部活でも使わさせてもらっているし、ここの神様に好かれているかなあ」。
女子15~17歳の部
松田唯里選手(福井工大福井高2年) 143=71、72(36、36)
松田選手は前半を全てパーで折り返した。一方、3打差でスタートした鬼頭選手は前半を1アンダーとして通算2オーバーとし、首位の松田選手との差は2打で後半へ。10番Hで松田バーディ、鬼頭ボギーで4打差に開くも14番Hで松田がボギーとして3打差となった。そして、「絶対に追いつく」と気迫充分な鬼頭選手は16番Hから18番Hまでを3連続バーディ、中でも18番Hは10メートルのロングパットを「入れなきゃ負けると思ったから思いきって打った」と振り返ったようにカップにぶつかる程の強さで入れたのだ。松田選手は「桜ちゃんが3連続でガッツポーズしたのが後ろから見えてた。だから、18番のパーパットは緊張しました」。
プレーオフに持ち越された勝負。松田選手は「また、プレーオフか」と中部女子アマでのプレーオフを思い出していたようだし、鬼頭選手は「勝ちます!」と強い気持ちで臨んだようだ。第1打を左のバンカーに入れた松田選手は「ユーティリティでトップ気味に」フェアウェイに、そして残り105YをPWでピン横1.5メートルに鮮やかにつけた。鬼頭選手は手堅く手前30Y地点に運んだ第3打を上手くあげられずショート、ピン手前8メートルにオンした。鬼頭選手の果敢なバーディパットは決まることなく、残るは松田選手のパット。それを見事に沈めた松田選手だが「フックラインで難しかった。入ってよかった」。涙の初優勝となった。
とにかく、今年に入って急成長著しい松田選手である。中部女子アマにプレーオフで勝ち、日本女子アマではベスト8、そして、今回の優勝。「試合の前までちょっと不調だったけど、金子監督にいいアドバイスをもらってショットが安定してきました」。そのアドバイスは、「いや~ん・ばか~ん」のリズムで打て、というもの。なるほど、ゆったりとしたスイングにリズムあり。松田選手の目下の目標は来週から始まる全国高校生の団体戦。「福井高に初の優勝をもたらしたい!」
男子12~14歳の部
竹内大喜選手(恵那西中3年) 144=70、74(35、39)
初日2アンダーで、2位タイの小木曽喬選手(福井工大福井中3年)と3打差でスタートした竹内選手。インからのスタートで12番Hセカンド地点で中断のサイレンとなった。「あまりの雨でサイレンが聞こえなかった」。そして、中断後の13番から15番を3連続ボギーし、前半を39、通算1オーバーで折り返した。この時点で首位は田中大貴選手(岩倉南部中3年)で通算イーブンパーだった。「今日は途中でつまってたから、みんなのスコアがわかってました」。後半に入り、竹内、田中、小木曽の3選手が並んだり並ばれたりを繰り返した。竹内選手は1打リードで迎えた8番H(382Y、Par4)で3.5メートルのパットを沈めてバーディとし、ついに2打差とした。「あのバーディでようやく落ち着きました。大丈夫かなとも思った」と竹内選手は語った。
最後まで接戦となったこのクラスは、優勝144、2位146,そして3位の147は4人と僅差であった。
中学生になってゴルフを始めた竹内選手は昨年の中部ジュニアは地区予選落ちで、今回は地区予選トップ通過だったが、今回の優勝で、「まだ実感はないけど、もっと練習したい。勝って、余計に練習しなきゃと思ってます、抜かれたくないから」とゴルフへの意気込みはさらに深まった様子。叔父の今野康晴プロには「さっそく報告します!!」。
女子12~14歳の部
橋本千里選手(萩山中1年) 146=74、72(37、35)
初日74で、首位の立浦葉由乃選手(福井工大福井中3年)とは2打差でスタートした。ところが、出だしの1番H(501Y、Par5)で4バット、いきなりのダブルボギーを叩いてしまった。それでも5番Hでバーディを奪い37,通算3オーバーで折り返した。この時は立浦選手、古川茉由夏選手(梅林中2年)が通算2オーバーでトップ、千里選手と橋本京選手(楠中3年)が通算3オーバー、野澤真央選手(桜山中3年)が通算4オーバーだった。
後半に入り、15番H(320Y、Par4)でバーディを決め、ついに立浦選手と並んだ。千里選手は続く16番H(488Y、Par5)でもバーディを奪い、通算2オーバーに、立浦選手は痛恨のダブルボギー、京選手もOBを出すなどで後退した。千里選手は1打リードをそのまま守りきっての優勝となった。野澤選手は18番Hでバーディを決め、2位に入った。
「ドライバーがダフったり、ショットもパットも全体によくなかった。相手のスコアを意識するとますますダメになるから、できるだけ自分のプレーに集中しようと思いました」。千里選手はこの春から中学生で、6月に開催された中部女子パブリックで高校生や大学生を押しのけ優勝したばかり。小学6年だった3月にはJJGA石川遼カップでも全国優勝を果たしている。中1で小柄な体ながら、しっかりしたゴルフをする千里選手、はじめての日本ジュニアでもいいゴルフで勝負してきて欲しいもの。